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Wing Fly Wind Blow


 光がきらきらと木漏れ日を作っていた。
 森はどこまでも続いていたけれど、遠く浅く、深くもならず浅くもならず、薄い葉っぱを通して緑色の光が辺りを明るく照らしている。
 時折、風が吹いて葉ずれの音がすると、あたりが一瞬ざわめいて、まるでたくさんの人が集まってお喋りしているようだった。
 といっても、ひそひそ話というよりも、楽し気な音に聞こえて、ずっと一人でいた身には尚更、耳に心地よかった。
 そのざわざわしたにぎやかな音に混じって、時折、風切り羽の鳴る音が聞こえるような気がして、そのたびに光流は木々の切れ目からぽっかり開いた空を見上げて目を眇めるのだった。
 遠くで、勝ちどきを上げるような鷹の甲高い声が聞こえて、風を切ったのは獲物を追って空をかけた空の王者かと、どこか期待外れの心地で軽いため息を吐く。そしてまた、にぎやかだけれども人の住む気配のない森を歩き続ける。
 その単調で果てしのない作業にはすっかり慣れ切っていたけれど、それでも時折無性に誰かに逢いたいと思う気持ちが沸き上がる。
 思ったところでどうにかなるものでもなく、人なつっこい小動物を見つけては手に触れて、せめてもの慰めを得るのだった。
 そんなふうにして、いつものように森の中を歩きながら、また空耳のような風切り羽の音を聞いたような気がして、殆ど無意識に顔を上げると、大きな物が落ちてくるような音と共に、声が降ってきた。
「こんなところで何をしている」
「羽のないやつだー。変なの」
「羽なし……? これって飛べないんですか?」

 立て続けに降ってくる言葉は、決して叫ぶような声ではなかった。にもかかわらず、光流はまるで轟音が耳元で鳴っているかのような錯覚を覚えて、一瞬何が起きたのか整理がつかなかった。
「これって、知能はあるんですか? 僕たちの言ってることわかるのかなあ……」
 一番背の低い少年が何度か羽ばたきながら呟く。
「羽の有無を除けば、我々と殆ど変わらないはずだが……」
「それにしては、何の反応もないけど?」
 まるで小鳥たちがさえずるように光流を無視して会話がやりとりされている。
 それが、数年ぶりに聞く『人間』の会話だと理解して、光流は思わず叫んだ。
「おまえら、人に話しかけるなら、ちゃんと会話にまぜろー!」


続く



以前から一度書きたいと思っていた、鳥人間パラレル。
軽い感じで続きます。


<ゆや/20070606>


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